2012年11月25日日曜日

6月に引き続き、神戸珈琲本店コンサートで演奏して参りました。

前回は初めてだったので、どんな雰囲気かわからず選曲に迷いましたが、今回は2回目ということで、お客さんが聴きやすい曲と自分の弾きたい曲をほどよくブレンド(珈琲屋さんだけに、、、)することができたと思います。
11月下旬でそろそろ冬支度の季節ですが、ぎりぎり秋ということで日本の秋の歌を演奏したら、聴いていたお客さんがいっしょに歌って下さいました(ありがとうございました)。またクラシックでは、ヴァイオリンの曲をヴィオラ用に編曲して演奏したり、他に、プロコフィエフ(Sergei S. Prokofiev)作曲「ロメオとジュリエット」のヴィオラとピアノの編曲(Romeo and Juliet Suite for Viola and Piano)を演奏しました。これはロシアのヴィオラ奏者でボリソフスキー(Vadim Borisovsky)という方が編曲したもので、最近ヴィオラのレパートリーとして静かなブームとなっています。
ヴィオラはオリジナル曲が少ないので、コンサートでは編曲ものを演奏せざるを得ないのですが、「これはいい」と思う編曲に出会うことがあまりありません。神戸珈琲さんでのコンサートをきっかけに、いろいろな編曲を発掘したり、また自分で編曲したりして、レパートリーを広げていきたいと思います。

2012年11月9日金曜日

11月5日、再び女川へ行ってきました。今度はバンベルク交響楽団(Bamberger Symphoniker)のメンバーと共に!

前日に仙台入り。5日朝8時半に車を借りて、9時に仙台フィルの本拠地、仙台市青少年文化センターへ。コントラバスを借りて9時20分頃仙台駅へ出発。バンベルクのメンバーは東京からの新幹線「はやぶさ」で、9時48分仙台着。仙台駅西口の自動車降車場で落ち合いました。演奏メンバー8人プラス事務局から1人。駐日ドイツ大使館のボーネンさんも一緒でしたが、車の定員の関係で彼だけ路線バスで行ってもらいました。スミマセン。

楽器や衣装を積んで10時に出発。女川まで2時間の予定です。車中のメンバーは、一昨日は福岡、昨日は静岡で東奔西走の忙しさにもかかわらず、皆さん元気にはしゃいで(?)いました。予定より早く11時40分頃女川着。今、女川の中心だったところには、何もありません。町が丸ごと流されたのです。その光景を見て一同絶句。「女川に音楽を」実行委員会の木村さんの仮設診療所(彼は歯医者さんです)は、海抜20メートルの丘の上にあるのですが、その建物の1階が水につかったと説明しても皆さん信じてくれません。お昼を食べに定食屋さんに入り、そこで震災の写真集を見て、ようやく納得してくれました。


13時半に女川第2小学校到着。会場の体育館で軽くリハーサル。当初は「近くの仮設にお住まいの方が50名ほどいらっしゃれば、聴衆は多い方でしょう」という木村さんのお話でしたが、校長先生の計らいで、女川第1小学校、女川第2小学校の児童の皆さん300名も、急遽聴きに来てくれることに。実は女川第1小学校の児童の皆さんは、震災で校舎が使えなくなったので、第2小学校に間借りして授業をしているそうです。合計350名の聴衆で、演奏する方にも気合いが入ります。


たくさんの人たちが聴いてくれました。

ウェーバー:クラリネット五重奏曲 変ロ長調 作品34
目にも止まらぬクラリネットの動きに脱帽!
プログラムは、
ドヴォルザーク:ワルツ 作品54−1
 A. Dvorak : Walzer op. 54 Nr.1
ウェーバー:クラリネット五重奏曲 変ロ長調 作品34
C. M. v. Weber : Quintett für Klarinette und Streichquartett B-Dur Op. 34
モーツァルト:ディヴェルティメント ニ長調 KV336
W.A. Mozart : Divertimento D-Dur KV 334
です。

モーツァルト:ディヴェルティメント ニ長調 KV336
この曲は立って演奏。動きがあって、
見ても聴いても楽しめました。
長旅の疲れも見せず、見事な演奏を聴かせてくれました。我が友 Martin のヴィオラも良かったのですが、バンベルクでコンマスを務める砂原さんのヴァイオリンが特に素晴らしかったです。本当はアンコールも聴きたかったのですが、女川では仮設住宅があちこちに点在していて、児童のは皆さんバス通学しているとのこと。本プロだけで終了しました。
残念!


仮設住宅を訪問。
演奏会終了後は小学校周辺を少し散歩。近くの仮設住宅に立ち寄ると「演奏会良かったですよ」と、何人かの方が声をかけて下さいました。

帰りの新幹線は仙台を19時26分発。木村さんによると夕方は渋滞するということなので、名残り惜しみながら16時50分頃女川を出発。やはり行きよりも時間がかかって、18時50分頃仙台駅着。バンベルクのメンバーとはここでお別れです。皆さん一仕事なし終えた、いい顔をしていました。

レンタカーの返却時間が20時なので、コントラバスを返しに急いで仙台市青少年文化センターへ。快く楽器を貸して下さった仙台フィルの村上さん、大久保さん、ありがとうございました。ちょっと混んでて、レンタカー会社に着いたのが20時少し過ぎ。木村さんと私との橋渡しをしてくれた仙台在住のK君と待ち合わせて、遅くまで反省会。翌日午前の便で無事帰ってきました。

今回の演奏会(内輪では、Onagawa Projekt と命名)では、多くの方が動いてくれました。発案した Martin、演奏会を主催して下さった木村さん、Martinの計画に賛同して女川まで来てくれたバンベルクのメンバーの皆さん、数え上げればきりがありません。いつの間にか駐日ドイツ大使館が後援して下さったり、バンベルクの新聞に演奏会の記事が大きく載るなど、思いもかけず大きな反響がありました。オーケストラの来日公演の合間で大変だったと思いますが、被災地での演奏会ができて本当に良かったと思います。皆さんに感謝!
追伸:この演奏会のことが、Bambergの新聞 Fränkischer Tag に取り上げられました。(Fränkischer TagのHPへ)

2012年11月1日木曜日

月曜日に宮城県女川町へ行ってきました。

話せば長い物語なのですが、発端は留学時代の友人(ドイツ人)が、「11月にオーケストラ(Bamberger Symphoniker)のツアーで2週間日本に滞在するけど、公演の空き日に、東北の被災地で演奏会ができないか」と打診してきたのがきっかけです。仲間を数人募って室内楽の演奏会をしたい、とのことでした。被災地でのボランティア演奏は需要も供給もあるのですが、その間に立って連絡を行い、演奏会にこぎ着けるまでが大変です。現地の様子をよく知っている人物で思い浮かぶのは、以前明石の教室にヴィオラを習いに来ていて、その後仙台へ行ったK君しかいません。彼に「こう言ってくれる人がいるけど、どこか演奏会ができる場所ある?」と聞いたら、「女川に音楽を」実行委員会の木村裕さんを紹介してくれました。木村さんは女川町の仮設診療所で治療を続けていらっしゃる、歯医者さんです。

私は当初、「仙台市内で演奏会を受け入れてくれるところは無いか」と思っていたのですが、仙台とその近辺は震災から立ち直りつつあり、今大変なのは三陸の沿岸部であるとのK君の弁。東京—仙台間は2時間かからないので、行って演奏会して帰ってくるのもそれほど負担ではありませんが、女川は仙台から更に車で2時間かかるとのこと。来日公演で忙しいのに、わずかな空き日に、多くの時間を費やしてでも演奏会をしに行ってくれるか心配しました。が、友人もその仲間も二つ返事でOKしてくれました。良かった!

演奏会は次の月曜日、11月5日の14時30分から、女川第二小学校の体育館で行います。詳細は掲載のチラシの通りです。「女川に音楽を」実行委員会のホームページでも見ることができますし、話を聞きつけた駐日ドイツ大使館(Deutsche Botschaft Tokio)が後援をしてくれることになりましたので、そちらのホームページでも演奏会秘話をご覧になることができます。


要するにこの演奏会の下見のために女川へ行ってきたわけです。全部で8人のプレーヤーとその楽器をレンタカーに乗せて女川まで行かなければなりません。女川の様子と現地までの交通事情を知っておかないと、当日ふたを開けてみたら通行止めや大渋滞があって行けません、ではせっかくの善意も水の泡。会場を快く提供して下さった女川第2小学校にも、挨拶がてら会場の様子を見に行ってきました。木村さんも小学校の先生も非常に熱意のある方々で、できるだけ多くの方に聴いて頂けるよう声をかけます、とのことでした。
しかし平日の昼間なのでどうしても聴きに来られる方は限られてしまいます。当日好天に恵まれ、多くの方に来て頂けますように祈るばかりです。